そして満月の日。こおろぎ君が地球に戻る日が来ました。
「僕、ここへ残ったらダメですか?」 「ああ。仲間のところへ帰りなさい」 「また会えますか?」 「そのうちな」 「お世話になりました」
こおろぎ君は何度も何度もおじぎをしました。
地球に戻ったこおろぎ君は、毎晩お月様に向かってバイオリンを弾きました。
その楽しそうなバイオリンの音は、風に乗ってお月様の方へ飛んで行きました。