いつもだらだらごろごろしているだけと思ったら大間違い。伝兵衛はちゃんと仕事を持っている。それはスタッフの浅野を監督することだった。
4月までかもねぎハウスの事務所はひなたの自宅と兼用だった。ゆえに浅野は毎日伝兵衛に会うことが出来たのだが、事務所を別に借りて以来、「うるうる3」班は全員そちらへ移った。
伝兵衛とひなたは自宅作業となり、他のスタッフとは離ればなれになった。
伝兵衛に会えなくなった浅野は一週間もすると禁断症状が出て、「伝兵衛の顔がみたいでちゅー」とつぶやきストライキを起こして仕事をしなくなるのである。これ以上制作を遅らせるわけにいかないプロデューサーは頭を抱えた。
そして彼は車のシートが「でん毛」だらけになり、窓ガラスがよだれで白く曇る事を覚悟して、週に一度伝兵衛を事務所に連れて行くのであった。
「伝兵衛!会いたかったでちゅー!」と再会を喜ぶ浅野の声を無視して、伝兵衛はお気に入りの植村君に飛びつき再会の印にお漏らしをする。
そして植村君の机の下で、背中にしょったリュックの中からおやつのジャーキーを出して貰って食べている間、浅野は伝兵衛がお漏らしして汚した床をきれいに雑巾掛けをするのであった。