私の仕事が山場に差し掛かった時、太洋堂からプリティな小人ちゃんが派遣されてくる。その名は植村明弘23歳。
カラオケで「ノンタンと一緒」を熱唱するご陽気さと、プロデューサーのどんな厄介な注文にも必ず答える確実さ。右手でC言語、左手でUNIX、そしてついでに足でLINGOを組んでしまう彼は、ジュラシックパークで恐竜に襲われても、「UNIXなら使えるわ!」と独り言を呟き、無事帰ってくるに決まっている。
何者にも代え難い強い味方である。
実は伝兵衛もいたく彼がお気に入りで、彼が来ると必ずおしっこをちびって喜ぶ。ゆえに私は毎回彼のズボンと靴下を洗濯しなければならない。
いくら喜んでいるとは言え、困った癖である。
植村君が油断して床に座れば、必ず膝の上に座り、顔をなめる。仕事をしていると必ず側へやって来て、キーボードを叩き手伝ってくれる。そして調子に乗ると大事なデーターをdeleteしてしまう。
と言うわけで、植村君が来ている間伝兵衛は、仕事場には出入り禁止となる。それでも伝兵衛は柵越しに植村君へ、熱い視線を贈り続けるのである。