給料を貰った次の日だというのに、ちえチュウはすでに給料前のように貧しい。そういうわけで、事務所内で密かにアルバイトをしていた。
どんなバイトかというと「ジュースを買ってきて」と頼むと「300円でチュ」とお金を要求するのであった。そう「ぱしり」で細かくバイトをしていたのである。
ところが、ジュースを買いに行っても300円なら、お昼ご飯を買いに行っても300円なのである。しかもすべての経費はチュウ持ちなので600円のお弁当を買って帰ると300円の赤字なのであった。バカである。
ある日そのことに気づいたちえチュウは値上げをしてきた。
「これからは用事一回につき500円でちゅ」
やっぱりバカである。
暫くして、いくら稼いでも赤字のちえチュウは、さすがにおかしいことに気づいたようで、さらに値上げを申請した。
「今度から思い切って100万円でちゅ!チュウに用事を頼みたいときには100万円用意して貰いまちゅ!」
こいつには「あいだ」という物がないようである。
これでチュウは大金持ちになるはずだったか、世の中そう甘くはなかったようだ。
ある日ちえチュウは、お昼ご飯を買いに行くヒマもないくらいに、忙しく仕事に追われていたのである。
「お腹すいたでちゅ。。。もうダメでちゅ。。。目がかすんできたでちゅ」
「ああ、チュウちゃん大丈夫か?おばちゃんが何か買うてきたるわ」
「浅野(仮名)さん、ありがとうでちゅ」
この時浅野(仮名)の目がきらっと光ったのは言うまでもない。
「はい、チュウちゃん。お弁当買うてきたで」
「ありがとうでちゅ。600円でちゅね」
「何言うてんねんな。チュウちゃんが100万円やったら、おばちゃんは1000万円やがな。なんちゅうてもチュウちゃんとおばちゃんでは、キャリアがちゃうさかいな。けっけっけっ」
こうして浅野(仮名)の罠にはまったちえチュウは、1000万円の借金を返すために、今日も浅野(仮名)にこき使われているのであった。