ラム、RAM、Lamb
ラム、RAM、Lamb

ちえチュウは浅野(仮名)に入門してHTMLラーになることになった。

ところで、この浅野(仮名)は普段「魔物」と呼ばれている。
理由は頻繁に嘘をついて、ひなたをだましているからである。ひなたは浅野(仮名)と10年以上の付き合いになるが、うっかりするといまだにだまされることがあるくらい、巧妙な嘘である。
苦情を言うと浅野(仮名)は「そんなもん、私の言うことは1000のうち3つ本当のことがあったら有り難いと思ってくれ」と、友人の紹介で会った新宿のおかまさんと同じことを言った。

こんな浅野(仮名)にとって、ちえチュウが格好の獲物であったことは言うまでもない。ところがちえチュウは、目に見えない早業でどんどんHTMLを組んでゆく浅野(仮名)のことを、神様の様に信じていたのである。

ラム、RAM、Lamb

ある日、ちえチュウは一大決心をしてマイMacを購入することにした。事務所で使っているものとお揃いの「8600/200」である。

パソコンショップから、ちえチュウ宛に電話がかかってきた。そしてちえチュウは浅野(仮名)に訪ねたのである。「お兄さんがラムはどれくらいにしておきますかって言ってるんですけど、ラムって何でちゅか?」浅野(仮名)の目がきらっと光った。

「ラムっちゅうたら子羊の肉やがな〜。あれは炭火でじっくり焼いたらおいしいもんなあ」「子羊でちゅか?」「そうそう。いっしょいっしょ。お肉屋さんでラムを買うときみたいに、パソコンのラムもグラムで買うのんや。そうやなあ、ちゅうはまだ初心者やし100グラムくらいでええんとちゃうか?」「ラジャッ!」ちえチュウは再びテーブルによじ登り受話器をとって元気よく言った。

ラム、RAM、Lamb

「ラムは100グラムでちゅ!!」

受話器の向こうで絶句しているパソコンショップのお兄さんの様子が目に浮かんだ。

その後、店までパソコンを引き取りに行ったちえチュウがどうなったのかは誰も知らない。