お道具好き

なんでも形から入るひなたはお道具好きである。しかも「プロ仕様」なんて書いてあるとすごくそそられてしまう。

伝兵衛がときどきぐったり元気がないとき、試しに熱を計る。熱の計り方はお尻の穴から体温計をぷすっと差し込む「直腸温」検査である。

実は伝ちゃん、これが大嫌いなんだな。どうも気持ち悪いみたい。おしりに体温計を差し込んだ瞬間驚いて、困った顔でこっちを見る。でも体温計がピピッと鳴るまでは抜いてやらない。「我慢しな」と言ってがっつり抱きしめて固定する。

その3分間が長いこと。。。

で、何度か固定に失敗して体温計が外れて、液晶に「エラー」と出ること数回。その度、アルコールと洗剤で消毒していったんケースに戻し、エラー表示をクリアにしてから再度チャレンジとなる。電子体温計って面倒なんだなぁ。

せめて一分とかもっと短くさくっと計れるのがあれば。。。と思っていたら「耳に差し込んで1秒で計れるペット用体温計」というのを発見!

これよこれ!私が求めていたのは!と、早速詳細を見ると、なんと獣医さん用のモノで一般家庭向きじゃないらしい。値段もプロ仕様価格。たけぇぇぇー。

でもこれがあれば検温楽だし、なんたってプロ仕様だしかっちょいいよなぁ。。。なんて無駄遣い好きのひなたがつぶやく。

しかし「耳で測定する体温計と直腸温とは温度が違うようですよ」と石橋を叩いて叩いて、そして叩き割ってしまい、石橋を渡らない堅実派のとあるお方の有り難いお言葉。(しかし石橋を叩き割った後で「これくらいなら泳げる」と、石橋に頼らず、自力で泳いで渡るんだな、この人。しかも余裕を見せて。ねいねい、もっと楽に生きようよ。。。と、肩をほぐしてあげたくなる)

ひなたの中で盛り上がっていた妙な興奮が一気に冷める。なーんだー、だめじゃーん。。。さくっと諦めて普通の体温計でもう少し時間の短いのを探したらあったのよ!5秒ってのが!

お値段は少々高めだったけど、出せる範囲だったので即購入。

伝兵衛様用の高級体温計は、ひなたが使っている平民体温計の4倍のお値段である。犬バカも徹底すると、それはそれで潔い、と自分に言い聞かせてみたり。

しかし、この5秒の体温計、水銀体温計とさらに0.4度くらいの差があった。結局一番正確に使えるのはアナログなんだなぁ。しょんぼり。

ちなみにひなたは「石橋に気づかず無理して泳いでおぼれて流されるタイプ」である。で、命からがら岸にたどり着き、何げに振り返って「げっ、あんなとこに橋があったのかよ!」と自分のしたことの無駄さに悔しがるのである。バカだね。でもそんな自分が好き。

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