名前の漢字

ひなたはペンネームを使っている。本名は、漢字で書くと10人が10人とも違う字で書いてくれるし、読む場合も全然違う名前で読まれてしまうちょっと変わった漢字。なので間違いようのない平仮名のペンネームを使用している。「あつこ」は本名だけどね。

「ひなた」はどこからつけたかというと、母の旧姓から頂いた(読み方は違うけど)。とても気に入っているので、プライベートでも「ひなた」で呼んで貰っていたりする。ちっこい事務所の中に私と夫と二人同じ名字の人間がいると、電話とかの呼び出しでどっちなのか混乱するので、あえて全然ちがう名前を使っているのである。

本名の漢字は、親戚でさえ正解を書いてくる人が少ないとても間違いやすい字で、私の本名の漢字を素直に読むと「えざきじゅんこ」と読まれる。誰だよそれ?ときょとんとするのである。名字も名前もハズレてるって。時々病院なんかでこう呼ばれて自分だと気づかず暫くぼーっとすることがある。

名前の漢字は「淳子」と書いて「あつこ」と読む。これはそう珍しくは無いと思うのだけど、問題は名字の漢字。2文字とも当用漢字には無い特殊な文字で、Winならかろうじて変換出来るらしいのだけど、macでは表示出来ずに2文字とも文字化けする字なのである。昔の漢字なんだと思うけど。

最初の頃はいちいち訂正するのが面倒なのでまあいいや、と間違った字でもそのまま書いてもらっていたり、適当に表示出来る漢字で表示して貰っていたけど、夫は字数を気にするらしく(デジタルな仕事をしているわりに迷信を信じる)「こんなにしょっちゅう字を間違えられたらそのたび字数が変わって運命が変わる」と妙な理屈で、仕事時の名字の表記を平仮名に変えた。

ところが、公式の書類や銀行の通帳なんかは平仮名表記はNGなのである。必ず「正しい漢字」を求められてしまう。で、役所関係はちゃんとコンピュータ表記でもその字がぱつっと出るのだけど、銀行のコンピュータには無いらしく、いまだに通帳の名前は手書きなのである。

ネットの通販でお買い物する場合も、私は面倒なので平仮名で申し込もうとすると必ずと言っていいほど「お名前の漢字を教えて下さい」と返事が返ってくる。

ああ、めんどくせーなーと思いつつ、いちおうどういう字だとは説明するけど、最後に「macでは文字化けして表示しない字です」と書くとたいていは平仮名で許して下さる。
でしょ?だから平仮名で申しこんだのに、なんでいちいち漢字漢字ってうるさく言うかなぁ。とつぶやく。

なぜ日本人はこんなに漢字にこだわるのだろう?別に平仮名でも良いじゃんと思うのだけど、平仮名じゃなんかまずいのかなぁ?謎だわぁ。。。

ただ、読みにくい名前は時々役に立つ。それはわけのわかんない勧誘の電話とかの時「えざきさんのお宅ですか?」と聞かれるので「いいえ違います」と言って電話を切る。もしくは「じゅんこさんおられますか?」と聞かれると「いいえおりません」と言う。だってうそじゃないもん。

自宅に電話をかけてくる知り合いなら、私の名前を正しい漢字で書いてくれなくても読み方はわかっているんだし、名前を知らない人から電話の場合はろくな電話じゃないので(お墓の紹介、家庭教師の紹介、なんかの教材、家のメンテ、選挙の勧誘、なんかのセールス、その他色々。。。)この手は結構使えて便利。

ちなみに伝兵衛はときどき「伝右衛門」とか「伝次郎」とか「ごんべえ」とか「どんべえ」に間違われている。近所の子供が嬉しそうに「どんちゃーん」と近寄って来るので、微妙に微笑みつつ「でんちゃんって言うのよ」と言うけど「どんちゃん」と言って改める気配が無い。どんちゃんも普通に尻尾をふりふり撫でて貰っている。まあいいや、好きに呼んでくれ。

名前って難しいね。

名前の漢字