ひなたはよく転ぶ。

普通に歩いているだけで段差も何も無いのに、すってんころりと周りの方に注目されるくらい、実に景気よく転ぶ。

歩いているだけで転ぶひなたは、自転車に乗るとさらにこけ率が高くなる。

片手運転などもってのほかである。かごに荷物をいっぱい積んだだけで、バランスを失い転ぶ。雨の日に傘を差しながら自転車に乗っている人を見ると、ほれぼれ見とれてしまう。

さらに対向車に弱い。車が向かってくると、はじっこによけなきゃと思い、ついついよけすぎで溝にはまったり、壁にこすったり。よけようとしただけでバランスを失い転んで、運転手さんがびっくりして降りてこられたことあがあった。
「いえ、勝手に転んだだけです。大丈夫です。ごめんなさい」と割れた卵のパックを拾いながら、恥ずかしくて顔から火が出そうになり逃げるようにその場を去った。家について落ち着くと膝がじんじん。見るとぱっくり切れて滝のように血が流れいた。泣きそうになりながら消毒をして、情けなーい気持ちになったり。

そんなひなたがある日、原付の免許があることだし、原付に乗ろーっかなーと言ったら、スタッフ全員に反対された。