しつこく携帯電話

携帯電話を買って早半年以上経った。

しかしかかってきたのはわずか3回。うち2回は「メール友達になってくれませんか? 」と言う、見ず知らずの男性からのお誘いだった。いやん、どうしましょう。。。と頬を赤らめながらも

「間に合ってます!!」と丁重にご辞退申し上げた。

そしてこちらからかけたことと言えば。。。片手で充分足りるほどであった。

そんなある日、お出かけすることになり相手の方から「携帯の番号を教えて下さい」 と言われたのである。

「はーい」と言ったものの、はて?どうやったら自分の番号がわかるのだろう?

あっちこっちのボタンを押しながら格闘すること30分、ついには諦めてメモを探し出 した。ようやく見つかった紙切れには確かに携帯の番号らしきものが書いてあるが、果たして本当にこの番号が私の番号なのか?謎である。

そこで、隣に座っていたプログラマー留め吉に「ちょっとこの番号かけてみそ」と渡し、待つこと5秒。私の携帯がぶるぶる振るえだした。

「あ、かかったかかった。ありがとー。んにゃ?でも何で音が鳴らないの?」

これは新しい謎である。着信音の設定とか、いろいろいじったがいっこうに音が出な い。そして格闘すること30分。

「この電話壊れてる〜!!」

床に電話をたたきつけようとしたその時である。

「ちょっと貸して下さい」留め吉が私の電話を受け取り、待つこと0.5秒。

ぷるるる〜。。。電話の音が鳴ったのである。
「わーい、有り難う。でも何で?」「マナーボタンが入っていたんですね」
流石プログラマー留め吉。眉毛ひとつ動かさず冷静に返事をしてくれた。

こうして無事私の電話はちゃんと音も鳴りぶるぶる振るえる正しい携帯になったので ある。

しつこく携帯電話