ひなたは全く必要ないであろうと思われる、携帯電話を購入した。理由は伝兵衛ストラップを付けたかったからである。
BIGLOBEさんで作ってくれたの。
足の裏にはちゃんと肉球まで付いていてかわいいの。
何事にも形から入るひなたは、もちろん携帯電話も値段や機能など何も見ずに、形だけで選んだ。すると、契約金やら本体の料金など、なんだかんだで15000円程支払うはめになった。
しかし伝兵衛ストラップを付けたら、そんなことは吹っ飛ぶくらい嬉しかった。
そして、携帯を持って一番にすること、それは携帯を持っている知り合いに電話を掛けまくり番号を伝えることだった。最後に実家の父と東京に住む弟にも番号を教えたのである。
ところで、この弟のところに先日とある贈り物をしたのである。いつもなら届いてすぐにメールでお礼を言ってくるのに今回は何も言ってこない。気にはなったが放っておいた。
それから何日かして、自宅の留守番電話に、弟の奥さんからお礼のメッセージが入っていることに気が付いた。どうやら随分前に入れてくれたみたいだった。
あまりに日が過ぎていたので、メールで「すまん」と伝えておいたら返事が来た。
「届いた日、携帯に電話したけど出えへんかったし。これは、予期してたけどな」
予期していたですって?
ちょっとムッとしたひなたであったが、弟の予想は正しかった。
ひなたの携帯は買ったその日に充電器の上にセットされたまま、門外不出になっていたのである。