普段全く何の役にも立たない伝兵衛であるが、唯一彼に出来る仕事があった。それは「目覚まし」である。
朝、なかなか起きてこない夫を起こすのは結構大変な作業なのだが、伝兵衛が起こしに行くと、見事に一度で起きてくるのである。
何故か?いきなり顔を嘗められ、寝ていられないそうだ。
2階から「やめてくれーーーーーー」という夫の叫び声が聞こえてくる。
朝、そろそろ起こさなければいけない時間になると「伝兵衛、行って来い」と、二階を指さす。
するとすたすた階段を登って行き、ぺろぺろ攻撃を開始するのである。
なかなか役に立つ犬じゃないか。と、思ったのもつかの間。
最近は起こしに行っても2階から叫び声も聞こえてこず、しーんとしている。待つこと15分。おかしい。そして30分。そろそろ遅刻ぎりぎりリミットである。
何故?と思って2階に行ってみると、なーんと、起こしに行ったはずの伝兵衛は、夫と一緒に2度寝していた。
やっぱりこいつは「何の役にも立たない犬」と格下げになった。