エリザベスカラーと言えば、皮膚病や怪我などをして患部を嘗めたり出来ないように、わんこの首に巻く「襟」のことである。(エリザベスというよりは、えりまきトカゲ風である)
ある日おしり部分を患った伝兵衛に、患部を嘗めないようにと、エリザベスカラー着用の指令が出たのである。
しかし相変わらず病院で先生の顔を見て、じょーーーっとお漏らしをしつつ、やっほーい、やっほーいと飛び跳ねる伝兵衛を見た先生は「そうだなぁ。この子のパワーだったら、エリザベスカラーを付けても一日も保たずにぼろぼろになるかもなぁ」とおっしゃった。
「そ、それでは、どうすれば?」
「作ってみます?」
奥のお部屋から見本をお持ち下さった。どう見てもポリバケツの底をくりぬいて、両端に紐を通した物である。
しかし贅沢を言っている場合ではない。体裁を気にしている場合でもない。なんとかして特製エリザベスカラーを入手しなくてはいけない。
早速近くのホームセンターにバケツを買いに走った。しかし程良い大きさの物がなく、しかもどれもどう贔屓目に見てもバケツなのである。
さすがに、ちょっと伝兵衛が不憫に思え、なるべくおしゃれな物をといろいろ物色していると、程良い大きさのラタンのかごがあった。これだと通気性も良く、何より軽いので、伝兵衛の首の負担も少ないだろうと購入。
普段お散歩の時以外は首輪も付けない伝兵衛である。はたして、この手作りエリザベスカラーをおとなしく付けているだろうか?不安がよぎった。
お昼休みにスタッフ一同、寄ってたかって伝兵衛のエリザベスカラー製作に励む。程なく出来上がり装着完了。
何とも言えない妙な格好である。伝兵衛はかなり抵抗し、あまり気に入らない様子だった。しかし装着後は患部を嘗めることが出来ず、エリザベスカラーとしての役目は果たしているようだ。良かった良かった。