秋の夜と伝兵衛

とある休日、アンティークショップを廻ってビクトリアンを堪能した。

夜、しみじみ秋を感じながら、久しぶりにレコードに針を落とした。せっかくだから昼間仕入れたアンティークランプに火をともすと、もう気分はすっかりヨーロッパの夜である。

これはワインねと、先日手に入れたアイスワインをあけたのにワイングラスが見あたらない。いったいどこにしまい込んだんだろう?暫く考え込んだ結果全て私が割っていたことが判明。気分がくじけてしまったので、紅茶に切り替えた。

こんな夜中に(午前2時)何をごそごそしているんだ?って顔で伝兵衛がじいっと見るから、ワインを少しお裾分けしてやった。すると余程美味しかったのかはうはう言いながらもっとくれと催促してくる。確かに伝兵衛は酒好きではあるが(焼酎以外はなんでも飲む)すぐ酔っぱらって階段を踏み外すバカなので少しでやめておいた。

今度の休みにはワイングラスを買いに行きませう、とアンティークショップに思いをはせていたら、となりでへそ天で足を広げて寝ていた伝兵衛がいびきをかきだした。

ビクトリアンな夜は、一瞬にして宇宙の彼方に飛んでいったのである。

秋の夜と伝兵衛