伝兵衛は普段無口である。
時々人が訪ねて来た時、出迎えながら「わんわん」と挨拶するが、すぐにサンバのリズムに腰を激しく振って歓迎の舞を披露するのである。そして、たま〜に嬉しすぎてお漏らしをしたり。あとはおとなしくお客さんにへばりついて撫でてもらっている。
時には、子供に口を引っ張られたり、子犬に耳をかじられたり、うさぎに顔を蹴られたりするが、何も言わずじっと耐えている。そして誰も相手をしなくても、おとなしく惰眠をむさぼっている。
そんな伝兵衛だが、寝ると結構うるさいのである。
普通犬は熟睡しないと聞いたのだが、伝兵衛はいつでも熟睡している。しかもいびきをかいたり、時々寝ぼけて寝言を言いながら足がこそこそ動いている。
そしてついにはおねしょまでするのである。
これには驚いた。まさか犬のおねしょの布団を干すことになるとは思わなかった。いったいどんな夢を見ているんだろう?謎である。