伝兵衛はシャンプーが大好きだ。
散歩から戻った時に、まだ家に帰りたくない気分の時は必ず玄関前で座り込んだり、寝っ転がったしりて抵抗する。そんな時「御飯」より効くのが「お風呂」である。「お風呂」と聞くと、今までてこでも動かないぞという体制だった伝兵衛が、すっくと立ち上がり、すたすたとお風呂場へ向いシャワーの下でしっぽを振ってお湯を出してもらうのを待っている。
ところで、このシャンプーであるが、犬用のシャンプーは人間が使っているものより遥かに高い。そのうえ伝兵衛は、しょっちゅう川や水たまりに入り泥んこになって遊ぶので、週に一度は欠かせないのである。子犬の頃はまだ良かった。しかし成犬サイズとなると高級シャンプーがあっという間に無くなる。
ある日いつものように泥んこの伝兵衛を洗おうと、お風呂場に入った。
ところがシャンプーが切れていたのであった。お湯で流すだけにしようかと思ったが、試しに私のシャンプーを使ってみた。これで、皮膚病になったら、獣医さんになんて言い訳しようかと考えながらも、いつものようにごしごし洗ってやった。しかし、その後かゆがる様子も無く、毛並みもかわり無かったのである。
以来4年間、伝兵衛のシャンプーは、お犬様用高級品から人間用のお買得品になった。
ところが、先日伝兵衛の胸の飾り毛に枝毛を発見してしまった。
しかも一本や二本ではなく、かなり大量である。やはりちゃんとお犬様用高級シャンプーを使わないといけないのか、、、。
ひなたのお小遣いは伝兵衛のシャンプー代で、再び窮地に陥っている。