先祖の血?

はっきり言って、私はかなり伝兵衛を甘やかして育てた。
しかしそれは私だけではなく、スタッフ全員が寄ってたかって奴を甘やかした。その結果、奴は一匹でお留守番の出来ない、根性なしな犬になった。しかも雷の音などを恐がる、超弱虫でもある。

伝兵衛は、毎日車で一緒に出勤して、機嫌良く事務所で受け付けをしていた。そんなある日、運転手が出張で車を出すことが出来ず、しかたなく2日間の間伝兵衛はおうちで留守番となった。私は出来るだけ早く家に帰ってやらなければと、気が気ではなかった。
そして2日目は私自身風邪をひいてしまい、かなり熱がでてしまったので、夕方に早引きをしてタクシーで帰った。そしてふらふらで車を降り家のドアを開けると、お腹を壊した伝兵衛が、かなりひどい粗相をしていた。

息着く暇もなしにカーペットをはがし、床を何度も雑巾がけし、39度の熱は吹っ飛んだ。その上伝兵衛は次の朝、お尻から血を流し血便を出していた。療養食と薬代で、私のお小遣いも吹っ飛んだ。
なぜこんな事に?と思ったら、季節は秋。運動会シーズンであった。
しかもひなたの家のお向かいには中学校がある。毎日運動会の練習で、大音量の放送と、スターターのパーンと言う音が繰り返し流れていたらしい。

お留守番の心細さと、恐い音の2重苦で、伝兵衛は腸炎を起こしたのである。今度犬を飼うときには、ちゃんと留守番の出来る良い子になるよう、厳しくしつけることを心に誓ったひなたである。

先祖の血?