くらさこ兄弟

先日久しぶりに「くらさこなつみ」と再会した。
彼女は、言葉がかなりしっかり喋れるようになっていた。そして兄の「くらさことおる」と共に伝兵衛を追いかけ回して家の中で大暴れしていた。

この兄弟のお気に入りは「おすわり」「お手」「おかわり」「ふせ」である。「ふせ」のままで「お手」と言われた伝兵衛は、ちゃんとふせのままお手をしたり、出来るだけ兄弟の希望を叶えてやっていた。
そしてこの兄弟の何よりの特徴は、手にもったおやつを、決して伝兵衛にやらないことである。

たまりかねた伝兵衛は、くらさこなつみが持っていたおやつを取ろうとした。するとかなりはっきりした口調で「だめー。伝兵衛にはやらなーい」と言い放ったのである。
そんな意地悪をされても、伝兵衛は二人の後を尻尾をふりふりついて歩いていた。くらさこなつみが転んで泣いていると、すかさず側へゆき、ほっぺをなめて慰めてやっていた。(なめられた彼女はかなり迷惑そうではあったが・・・)
そして、またしても敷居につまずいて転んで泣いていた彼女を、今度は私が膝に座らせ「よしよし」と慰めていたら、伝兵衛がすたすたと側へやってきた。

ほっぺをなめてやるのかしら・・と思っていたら、鼻でぐいぐい、くらさこなつみを押しのけ、自分が膝の上にどかっと座ったのである。押しのけられたくらさこなつみは、ぴたっと泣き止み「キッ」と、伝兵衛を睨んだのである。
両者の戦いはまだまだ続きそうである。

くらさこ兄弟