ようやく暖かくなり、私のかわいいハーブ達もどんどん新芽を付けてきた。
去年は「花」を中心に植えたが、今年は「食べる事」を中心ハーブを追加した。種から育てたコリアンダー、ロケット。苗を買ってきて植え付けたスイートバジル、チャイブ。
「早く大きく、おいしくなるんだよ」と、満足しながらハーブ達を眺めていた。
そして玄関の戸を開けっ放しで家の中を掃除していたら、ハーブの香りが風にのって家の中に運ばれてきた。
「ああなんて良い匂い」と、鼻歌混じりに掃除機をかけていたのだが、さっき植え付けたばかりのバジルがとてもよく香っていたのが少し気になった。それはだんだん胸騒ぎに変わり、私は急いで外へ出てみた。
悪い予感はよく当たる。
3株植えた内の2株は伝兵衛が食いちぎって、粉々にして蒔き散らかしながら嬉しそうに食べていた。1株だけ鉢に入らず、別の棚に置いていたので難を逃れたのが、唯一の救いだった。
うちのハーブ達の敵は害虫でも病気でもなく、伝兵衛だった。