おしり

外は寒いので、ついつい散歩も短縮気味に過ごしていたら、伝兵衛はみるみる丸くなった。
このままではいかんと、思い切って寒空の中、夏によく連れて行っていた川へ行き、川縁を走らせようと思った。ところが奴は川を見るなりまっしぐらに水の中へ入っていった。
いくら呼んでも、パンを見せてもいっこうに出てくる気配がない。

ぼーっと突っ立て見ている人間達には拷問の様な寒さである。しかし奴は夏とまるで同じように、とても楽しそうにじゃぶじゃぶと水の中で遊んだり、そこらを走ったりしている。
ただ夏と違っていたのは、枯れ草がぎっしりと敷き詰められていたことだった。

奴の尻尾やお腹の毛には枯れ草や枯れ枝が絡み付いて、みの虫のようになっていた。家に戻ってシャンプーをしても、いっこうにとれない。仕方無しに毛をカットすることにした。
とは言え、かなり根本の方から絡んでいたのでお尻が殆ど丸坊主になり、後ろ姿がかなり恥ずかしい犬になってしまった。

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