靴下の匂い

最近伝兵衛は、お留守番が多くなった。
ひなたは朝9時半に家を出て、夜8時位に戻る。家に来てから殆ど誰かと一緒だったので、最初は大丈夫かな?と心配したが、3日もすれば諦めてしまって、お隣の奥さんが「伝ちゃんも一緒に出勤してるの?」と訪ねるくらい、2階でおとなしく寝ているようだ。

最初の頃は、帰るとすぐ階段を駆け下りてきて、玄関でお出迎えしてくれていたが、最近ではそれもなく熟睡しているようだ。それでも、ダンナの車の音がすると飛び起きて、大急ぎでお出迎えをしている。
この差はなんだろう?私は気に入らない。餌をやるのも、朝夕の散歩も、お風呂に入れるのも、ブラッシングするのも、そそうをした後始末もみんな私がやっているのに、何にも世話をしない、ただただ可愛がるだけのダンナの方に、奴はなついている。

そしてお留守番の時奴は、どこからともなくダンナの脱ぎ散らかした靴下を集めてきて、枕元に固めて匂いを嗅ぎながら、顔を埋めて寝ているのである。
悪趣味な奴だ。

靴下の匂い