伝兵衛は、余所へお泊まりするたび、まるでもともとそこの子だったかのように普通に過ごしている。なので浅野(仮名)家に預けた時は「浅野君」と呼ばれ、ご近所の方のところへ行っているときもその方の名字で呼ばれていた。
そして今回、わんこ病院で預かって貰った3泊4日。すっかり病院のわんこになっていた。(爆)
病院と事務所は歩いて10分くらいの距離。お散歩に連れ出して貰った時も、事務所へ帰ることなくH先生と一緒におとなしくお散歩して(おとなしくお散歩なんて、ひなたはしたことがないんですけど?)普通に病院に戻って普通に過ごしていたとか。
迎えに行った朝、いちおう事務所の前までは素直に歩いて来たけど、事務所のビルの前でだだをこね、中に入るのを嫌がった。そして私がリードを持つ手を持ち替えようとしたスキに、一気に病院へ戻ろうと駆けだしたのである。
よろけながらも踏ん張ったひなたは伝兵衛をひきよせ、めっちゃ不機嫌に伝兵衛をむりやり事務所へ連れ込んだ。
こいつ、いっぺん絞めたる。ひなたはこころのちゃぶ台をひっくりかえした。
その後伝兵衛は、先生と過ごした3泊4日を懐かしむかのように、事務所の窓から外を眺めていた。後ろ姿が妙にせつない。
なんでこんなに先生に懐いているのだろう?先生は何か特別に美味しいごはんでもやって下さっていたのだろうか?ハモとかなら私も食べたいんだけど。(爆)
まぁ、安心して預かって貰える先が出来て、ひなたとしては家を空けやすくなって嬉しいのだけどね。でも安心出来過ぎてなんか複雑。(贅沢な悩み)
そんなわけで、事務所に戻ってからも伝兵衛は「H君」と新しい名字で呼ばれている。