冬、伝兵衛は自分専用の布団の上で、毛布を丸めて枕にして寝ていた。 最近はさすがに暑いのか、階段の上の廊下で、冷たい床にぴったりへばりついて寝ている。布団と毛布を使わなくなったので、私はとっとと片づけてしまった。
しかし枕がないと寝づらいのか、暫くすると自分の前足を枕にして寝ている。そして明け方少し寒くなった頃、彼は私の顔を枕に使う。 毎朝、私の顔には伝兵衛のよだれの後がくっきりついている。