安物な犬

今年もスタッフやクライアント様やその他ゲストさんたちと一緒に、河原でバーベキューを楽しむ。
伝兵衛は丸ハゲで、バッタモノのラブ状態ながらも、相変わらず川に浸かったまま出てこず、久しぶりの川を満喫していた。

そこへ、わんこ2匹乱入。ミニチュアダックスと本物のラブである。
ミニチュアダックスは私たちには見向きもせず飼い主の後を必死で付いて茂みの奥に行ってしまったが、ラブは私たちの中へ入ってきてくんくんしていた。

そしてお皿に取ってあった、誰かの大きなロースをぺろっと一口。
「をい!それタレが付いてて体に悪いんとちゃうのか!」
と言ったがラブは全く気にせず次のお皿に向かっていた。
伝兵衛は落ちているモノは食べるが、お皿の中に入っているモノは誰かが良いと言うまで絶対に食べないので、みんな油断してその辺にお皿を放置していたのである。

あわててお皿を取り上げ「こっちにしとき」と焼いたサツマイモを差し出す。するとくんくん臭ってプイッと肉の方へ行った。「おや?イモは嫌いかい?」と言っていると伝兵衛がすかさずやって来て「良いお座り」をして待っている。
手に持っていたイモを伝兵衛にやると喜んで食べる。それを見ていた一同「伝兵衛、安いなぁ。。。」

ラブはあいかわらずくんくん嗅ぎ周りお肉を探す。しかも味の付いてない焼いただけの肉には目もくれず、たれ付のロースを狙うのである。野菜やカルビを鼻で除けてロースを食べる。なんてやつ。
普段そういうのを食べさせて貰っているのだろうか?伝兵衛は誕生日の例外を除き、普段ドックフード以外で貰えるのは一口のちくわやかまぼこ、最後の一口のパン。キャベツの芯やセロリの葉っぱや大根の葉っぱや、その他ヨーグルトを食べた後の容器を舐めさせて貰えるくらいである。

お肉を与えた事が無いためか、肉が食べ物だと知らないのか、最初からこれは貰えないと諦めているのか、お肉を食べていても見向きもしない。しかしサツマイモやキャベツの時は張り切って良いお座りをしてじっと待っている。

しばらくして飼い主の人が、餌を持って現れラブを呼ぶ。手に持っておられたのは煮干し。
しかしその煮干しに吊られたのはラブではなく伝兵衛であった。伝兵衛は差し出される煮干しの前にお座りして待っていた。(恥)ラブは煮干しには見向きもせず、肉を狙って私たちから離れず。

最後は飼い主にとっつかまえられて、リードで引っ張られて連れ去られた。ラブ君、ロース3枚を平らげ退場。
伝兵衛は煮干しを一匹貰ってご満悦。安いぞ、伝兵衛。

しかし「伝ちゃんのそういう安いところが好きでちゅ」とちえチュウに撫でて貰っていた。まあいいか。

安物な犬