伝兵衛は体重32キログラムもあり、体はかなり大きい。
散歩に行くと何故か犬に吠えられる。吠えられると私の後ろに隠れるか、早足で逃げる。相手がどんなに小さい犬でも、吠えられると尻尾をまいて逃げる。
一寸情けない姿である。
この間夕方買い物に出ていたら、夕立になり雷が鳴りだした。私はあわてて自転車をすっとばし家に急いだ。家に着くといつも玄関までお出迎えに来る伝兵衛の姿がない。
部屋にはいると、絨毯に大量のお漏らしの跡があった。伝兵衛はクッションの間にうずくまり、震えていた。どうやら雷が恐かったらしいが、情けない顔でじっと私を見上げるだけで、そばに来ようとしない。
彼は腰を抜かしていたのだった。